灘中学校 入試分析 2019年度

灘中学校は、昨年度に引き続き、受験者は700名を超え、合格者は262名となり、昨年度の記録を上回った。

合格者の増加は、東京・神奈川からの受験者があわせて169名となったためであり、結果的には実質倍率は2.7倍に落ち着いた。

算数の2日目では、作図と試行に重きが置かれ、国語の1日目では、単語指定の作文が出題された。また、理科では初見の設定で実際に試して解答を導く問題が出題されるなど、今後の大学入試変革を意識した、新学力へのアプローチが見られる。

もちろん例年通りの出題もあるので、普段の学習の中に、典型的なパターンは不可欠である。しかし、初見の設定を読み込んで理解し、その場で試行錯誤しながら答えを導く学習も、これまで以上に必要である。

灘中学校外観写真

灘中学校
算数の出題傾向・対策

今年度は、1日目の問題数は12題、2日目の大問数が5題、と例年通りだったが、1番に小問がないという、珍しいパターンであった。

内容については、大きく難度を上げており、平均点がいずれのテストも近年では最低点で、受験生にとっては大変苦しい試験となった。

単元については、1日目は、文章題6題のうち、3題が数に関する問題であり、その他の問題についても、結局は数の問題となるものが2題もあり、極端に数に偏った出題となった。

図形問題は、ひらめき力を要する平面図形と、イメージ力を要する立体図形が、非常にバランスよく出題されていたが、いずれの問題も手がかりが少なく、なかなか手が出なかったと思われる。

2日目は、地道な作業でも対応できる文章題から始まり、作図を要する影の問題や立体図形の問題、数の要素を持つ平面図形の問題が出題された。いずれも重厚な問題となっており、時間内に解くことは極めて困難だったと予想される。

灘中学校 算数分野別出題バランス
中学受験専門 進学塾「進学館」の冬期講習2021

灘中学校
国語の出題傾向・対策

1日目…文章題1題・語句などに関する問題5題。
2日目…文章題2題・詩1題。

1日目は外来語、慣用句、四字熟語、助詞、漢字しりとりなど、知識分野から幅広く出題された。俳句も例年通り出題され、今年度は季節の順に並べ替える問題であった。

大問1の文章題で、指定語句を使って五十字以上百字以内で作文する新傾向の問題があり、受験生を驚かせたが、問題文中の会話文の内容をまとめるだけであり、難しいものではなかった。

2日目の大問1は原発事故以来電気の使用を極力おさえて生活している筆者の書いた随筆文からの出題、大問2は最近の果物の甘みから現代日本が抱えている問題点を指摘している随筆文からの出題であった。設問自体はこれまでの灘の傾向と変わりはない。

大問3は例年通り詩が出題された。2日目の記述問題は、問題文中で傍線部の持つ意味を理解し、解答欄に合わせて字数を考え、必要十分な内容を盛り込まなければならない。

灘中学校 国語分野別出題バランス

灘中学校
理科の出題傾向・対策

  1. 出題内容
    大問6題のうち、物理はてこと浮力を絡めた1題、化学は燃焼と発熱を絡めたものと溶解度の2題、生物は生き物のつながりと生物数の調査に関する2題、いずれも受験生にとって理解しやすい題材であった。
  2. 昨年までとの比較
    試験時間に対して問題数は少ない。例年はこの時間の余裕を、問題を読み込んで内容を理解することに充てていた。しかし、今年度は計算処理に時間を要したと思われる。また、唯一見慣れない題材であった地学は、ステレオグラム(立体視)に関する問題であった。灘の理科にはめずらしく説明が少なく、内容の理解に苦しんだのではないかと想像する。よって、この問題では差がつかず、今年度は計算の処理力および論理力が合否を分けたと思われる。
  3. 対策
    基礎的な知識、計算を筋道立てて考えられる力を確実に身につけたい。また、例年の傾向から、先入観を捨てて問題文で問われていることを考えるという練習が必要である。
灘中学校 理科分野別出題バランス
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灘中学校
入試結果:2019年度

募集人数 180名
志願者数 731名
受験者数 708名
合格者数 262名
実質倍率 2.70倍
  算数1日目 算数2日目 国語1日目 国語2日目 理   科
受験者平均点 38.5/100 44.5/100 60.0/80 69.1/120 64.5/100 276.6/500
合格者平均点 49.8/100 56.8/100 63.6/80 75.1/120 73.2/100 318.6/500
受験者最高点 87/100 98/100 79/80 98/120 90/100 414/500
合格者最低点 -/100 -/100 -/80 -/120 -/100 290/500

※スマートフォンは横スクロールでご覧ください。

灘中学校
入試要項:2019年度

募集人数 180名
選抜方法 算・国・理
出願期間 12/25 ~ 1/7
試験日程 1/19・1/20
合格発表 1/21(掲示)
  1日目 2日目
算   数 100点(60分) 100点(60分)
国   語 80点(40分) 120点(70分)
理   科 100点(60分)
合   計 500点(290分)

灘中学校
大学合格実績:2018年度

高校卒業生:219名

国公立大学への合格者数

東京大(現役)    92(70)
京都大(現役)   42(25)
大阪大(現役)    17 (6)
神戸大(現役)   9 (5)
大阪市立大(現役)    7 (5)
大阪府立大  2

私立大学への合格者数

早稲田大(現役)   28 (4)
慶應義塾大(現役)  32(14)
関西学院大(現役)  5 (2)
関西大 5
同志社大(現役)  16 (3)
立命館大(現役)  12 (3)

灘中学校
過去の入試結果データ

年  度 受験者 合格者 実質倍率 合格者最低点
2015 594 228 2.61 312/500(62.4%)
2016 639 239 2.67 296/500(59.2%)
2017 667 242 2.76 321/500(64.2%)
2018 727 252 2.88 322/500(64.4%)
2019 708 262 2.70 290/500(58.0%)

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