甲陽学院中学校は、今年度も募集定員に対する申込倍率が2倍を超え、関西屈指の人気校健在を示した。
合格者最低点は過去4年間ほとんど変化がないので、一見出題レベルも同様なのかと錯覚するが、毎年特筆すべき点が存在する。
まず、例年受験生を悩ませるハイレベルな理科が、幾分マイルドなものになり、平均点は昨年度より15点近く上昇した。
また、1日目の算数も練習を十分に積んだと思われる雰囲気の出題に偏り高い平均点となったが、そのバランスを保ってあまりあるほど、2日目の算数に解きづらい難問が集結し、多くの受験生が肩を落としたことが想像される。
来年度の対策として、高度な記述力が必要とされる国語への粘り強い取り組みは必須で、算数および理科についても、最高水準の出題がされたときも対応が可能なように、過去問を中心に取り組んでおきたい。
1日目、2日目ともに問題数など形式上の変化はなかったが、例年と大きく変化した点として「難度の差」が挙げられる。
1日目は見た目にも解き進めやすく、実際に平均点も例年より高いものであったが、うってかわって2日目は単元的にも、レベル的にも難しい問題が顔を揃えた。
2日間トータルの平均点が5割程度であることは毎年と大差ないが、両日の平均点の差が20点以上開いたことは記憶にない出来事であった。
速さ、数、立体図形を中心にまんべんなく扱われ、難度順に大問をならべることを意識していないかのような問題配置については、いつもどおりの甲陽らしいところであった。
問題数は他校に比べ、決して多くないので、じっくりと思考の跡を残しながら正解に近づこうとする取り組みを、普段からトレーニングしておきたい。また、過去問は勿論、同レベルの出題がある難関中学校の問題にも積極的に取り組んで、応用力を養っていくべきである。
両日ともに随筆文1題と物語文1題の出題。今年度は難解な論説文が出題されず、昨今の甲陽では珍しい形の出題となったが、1題目は例年と同様に論理的な問題が多く、受験生にとまどいはなかったのではないかと思われる。
出題された文章のテーマ、問題内容、記述量、難度に大きな変化はなかったので、甲陽に対しての対策をきっちりとしていた受験生は自分の持っている力をいかんなく発揮できる試験だったと言える。
甲陽の合格を勝ち取るためには、高いレベルの読解力・記述力をつける必要がある。甲陽では似たようなテーマ・問題が出題されることが多いので、文章の内容や問題の解法について暗記するくらい解き直しをする必要がある。
今年度の問題でも、過去と似たタイプの問題が何問か出題されていた。
また、平均点が低めになることが多いので、出題される数は少ないが高い確率で得点できる漢字語句の分野に関してもしっかりと対策をしておくようにしたい。
募集人数 | 200名 |
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志願者数 | 411名 |
受験者数 | 393名 |
合格者数 | 220名 |
実質倍率 | 1.79倍 |
算 数 | 国 語 | 理 科 | 計 | ||||||||||||
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受験者平均点 | 1日目 | 63.8/100 | 56.9/100 | 62.8/100 | -/500 | ||||||||||
2日目 | 40.3/100 | 60.8/100 | - | ||||||||||||
計 | 104.1/200 | 117.7/200 | 62.8/100 | ||||||||||||
合格者平均点 | 122.6/200 | 125.2/200 | 67.6/100 | 315.4/500 | |||||||||||
合格者最高点 | 181/200 | 169/200 | 90/100 | 413/500 | |||||||||||
合格者最低点 | -/200 | -/200 | -/100 | 280/500 |
募集人数 | 200名 | ||||||||
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選抜方法 | 算・国・理 | ||||||||
出願期間 | 12/25 ~ 1/5 | ||||||||
試験日程 | 1/19・1/20 | ||||||||
合格発表 | 1/21(掲示) |
1日目 | 2日目 | ||||||||||
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算 数 | 100点(55分) | 100点(55分) | |||||||||
国 語 | 100点(55分) | 100点(55分) | |||||||||
理 科 | 100点(55分) | ― | |||||||||
合 計 | 500点(275分) |
高校卒業生:194名
東京大(現役) | 27(19) | ||||||||
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京都大(現役) | 43(25) | ||||||||
大阪大(現役) | 21(13) | ||||||||
神戸大(現役) | 24(14) | ||||||||
大阪市立大(現役) | 11 (5) | ||||||||
大阪府立大(現役) | 6 (2) |
早稲田大(現役) | 13 (3) |
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慶應義塾大(現役) | 25 (1) |
関西学院大 | ― |
関西大 | ― |
同志社大(現役) | 44 (3) |
立命館大 | ― |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 | ||||||||||||
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2015 | 317 | 215 | 1.47 | 262/500(52.4%) | ||||||||||||
2016 | 382 | 220 | 1.74 | 271/500(54.2%) | ||||||||||||
2017 | 369 | 219 | 1.68 | 276/500(55.2%) | ||||||||||||
2018 | 402 | 222 | 1.81 | 273/500(54.6%) | ||||||||||||
2019 | 393 | 220 | 1.79 | 280/500(56.0%) |
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