神戸大学附属中等教育学校 入試分析 2019年度

2019年度の神戸大学附属中等教育学校の入試は、試験会場がKU本校ではなく、常盤アリーナという大きい会場に変更となった。常盤アリーナには800名を越える多くの受検生が集まり、相変わらずの狭き門であった。

男子より女子の方が倍率が高く、非常に厳しい戦いを強いられた。全体的に、答えだけを書く問題や、記号で答える問題の割合が増えた。
これは、受検生が多く、学校の先生が採点する量を少しでも減らすためである。
それでも、いわゆる「適性検査型」の質の高い問題がどの科目でも出題されており、しっかりとした専門の対策をしておかないと合格することは難しいと言える。
その場で落ち着いて対応し、考えたことをしっかりと表現できるかどうかも、合格点を取るために大切である。

神戸大学附属中等教育学校外観写真

神戸大学附属中等教育学校
数理探究の出題傾向・対策

大問は4題、小問数は14問で、問題数は昨年度と同じだった。記述問題、理由を説明させる問題が明らかに減り、その代わりに選択肢から答えを選び記号で答える問題が2問出題された。
「兵庫県のたまねぎの出荷量」「お風呂の水量変化のグラフ」「スーパーで買い物をする」といった身近なテーマを題材とする問題や会話文が多いのも数理探究の特徴である。やや複雑な割合計算や、試行錯誤をくり返し調べていく問題も出題されている。

丁寧かつスピーディな計算力を鍛えておき、時間配分を意識しながら、「こういうことを書くんだ。」という方針をしっかりと立てて、解答用紙を埋めていくトレーニングを積んでおきたい。

神戸大学附属中等教育学校 数理探究分野別出題バランス
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神戸大学附属中等教育学校
言語表現の出題傾向・対策

出題形式に大きな変更はないが、字数指定のある(〇字以上〇字以内と最低限の字数は決まっている)記述問題が出題されたり、論説的文章の大問の中で自身の経験に基づく自由記述が出題されたりしていた。
また、会話文とそれに関係する新聞記事から情報を読み取る問題、新聞の見出しを考える問題など、見つける力・調べる力・まとめる力・発表する力を意識した特有の問題が出ている。

漢字の書き取りでは標準的なものが出題されている。全体的に文章と設問の条件をよく読んで、自分の言葉で記述する問題が多い。
語彙力と記述力は必須で、初見の問題に対する対応力や発想力なども欠かせない。

神戸大学附属中等教育学校 言語表現分野別出題バランス

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自然環境の出題傾向・対策

  1. 出題内容
    大問数は計3題、内訳は市民社会との共通問題が1題、物理が1題、物理と化学の融合問題が1題である。
  2. 昨年までとの比較
    資料や会話文、グラフから必要な情報を見つける力や、それを文章や図で示す力が求められている。計算やグラフの問題は例年通り出題されている。記述の問題は3割に抑えられた。今年度は新たに、共通問題で賛成・反対のどちらの立場の意見も答えるディベート形式の問題が出題された。
  3. 対策
    日頃から表などの資料より、規則性や変化を捉える意識を持っておきたい。記述練習は必須である。計算の難度は高くないが、素早い処理力と単位への注意力を鍛える必要がある。
神戸大学附属中等教育学校 自然環境分野別出題バランス

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市民社会の出題傾向・対策

大問1の自然環境との共通問題では、神戸市の魅力についての会話文が題材であった。問2では一般的な教養に関する問題が出題されており、日常生活から様々なことに関心を持つことが重要である。
大問2以降では地理・歴史・公民の分野からそれぞれ出題されていたが、ほとんどが記述問題となっていることに大きな特徴がある。その他には、計算問題、グラフの作成、資料内容から答えを考えさせるなど、他の学校ではあまり見られない問題が出題されている。

用語と問題文をセットで覚えること、資料集や学校教科書を読むことで背景を理解することを日頃の学習から心がけていきたい。

神戸大学附属中等教育学校 市民社会分野別出題バランス
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入試結果:2019年度

男子

自然環境市民社会
募集人数男女あわせて80名
志願者数358名35名
受検者数286名28名
合格者数63名3名
実質倍率4.54倍9.33倍
  数理探究 言語表現 自然環境 市民社会 総合点
受検者平均点 59.1/100 56.0/100 65.4/100 56.3/100 231.2/360
合格者平均点 79.6/100 70.1/100 79.5/100 82.0/100 283.4/360
受検者最高点 100/100 90/100 96/100 86/100 321/360
合格者最低点 -/100 -/100 -/100 -/100 266/360

総合点は検査合計に調査書、作文を加えた値です。

女子

自然環境市民社会
募集人数男女あわせて80名
志願者数420名173名
受検者数372名147名
合格者数55名21名
実質倍率6.76倍7.00倍
  数理探究 言語表現 自然環境 市民社会 総合点
受検者平均点 57.6/100 62.2/100 64.7/100 66.2/100 239.4/360
合格者平均点 81.4/100 74.5/100 79.0/100 81.2/100 292.5/360
受検者最高点 100/100 92/100 91/100 92/100 319/360
合格者最低点 -/100 -/100 -/100 -/100 280/360

総合点は検査合計に調査書、作文を加えた値です。

神戸大学附属中等教育学校
入試要項:2019年度

募集人数 男女あわせて80名
選抜方法 数理探究・言語表現
自然環境or市民社会
作文
出願期間 12/3 ~ 12/5
検査日程 1/22
合格発表 1/25(掲示・web)
数理探究 100点(50分)
言語表現 100点(50分)
自然環境 100点(50分)
市民社会 100点(50分)
作文 30点(25分)
調査書 30点
総合点 360点(175分)

自然環境・市民社会選択制

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過去の入試結果データ

年  度 選択科目 男子 女子
受検者 合格者 実質倍率 合格者最低点 受検者 合格者 実質倍率 合格者最低点
2015 自然環境 209 43 4.86 265/360(73.6%) 257 55 4.67 273/360(75.8%)
市民社会 58 8 7.25 176 32 5.50
2016 自然環境 315 61 5.16 256/360(71.1%) 335 61 5.49 263/360(73.1%)
市民社会48 4 12.00 181 35 5.17
2017 自然環境 284 70 4.06 247/360(68.6%) 339 64 5.30 256/360(71.1%)
市民社会47 2 23.50 164 31 5.29
2018 自然環境 304 59 5.15 271/360(75.3%) 364 46 7.91 278/360(77.2%)
市民社会35 1 35.00 172 20 8.60
2019 自然環境 286 63 4.54 266/360(73.9%) 372 55 6.76 280/360(77.8%)
市民社会28 3 9.33 147 21 7.00

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