灘中学校は、昨年度に引き続き、受験者は700名を超え、合格者は262名となり、昨年度の記録を上回った。
合格者の増加は、東京・神奈川からの受験者があわせて169名となったためであり、結果的には実質倍率は2.7倍に落ち着いた。
算数の2日目では、作図と試行に重きが置かれ、国語の1日目では、単語指定の作文が出題された。また、理科では初見の設定で実際に試して解答を導く問題が出題されるなど、今後の大学入試変革を意識した、新学力へのアプローチが見られる。
もちろん例年通りの出題もあるので、普段の学習の中に、典型的なパターンは不可欠である。しかし、初見の設定を読み込んで理解し、その場で試行錯誤しながら答えを導く学習も、これまで以上に必要である。
今年度は、1日目の問題数は12題、2日目の大問数が5題、と例年通りだったが、1番に小問がないという、珍しいパターンであった。
内容については、大きく難度を上げており、平均点がいずれのテストも近年では最低点で、受験生にとっては大変苦しい試験となった。
単元については、1日目は、文章題6題のうち、3題が数に関する問題であり、その他の問題についても、結局は数の問題となるものが2題もあり、極端に数に偏った出題となった。
図形問題は、ひらめき力を要する平面図形と、イメージ力を要する立体図形が、非常にバランスよく出題されていたが、いずれの問題も手がかりが少なく、なかなか手が出なかったと思われる。
2日目は、地道な作業でも対応できる文章題から始まり、作図を要する影の問題や立体図形の問題、数の要素を持つ平面図形の問題が出題された。いずれも重厚な問題となっており、時間内に解くことは極めて困難だったと予想される。
1日目…文章題1題・語句などに関する問題5題。
2日目…文章題2題・詩1題。
1日目は外来語、慣用句、四字熟語、助詞、漢字しりとりなど、知識分野から幅広く出題された。俳句も例年通り出題され、今年度は季節の順に並べ替える問題であった。
大問1の文章題で、指定語句を使って五十字以上百字以内で作文する新傾向の問題があり、受験生を驚かせたが、問題文中の会話文の内容をまとめるだけであり、難しいものではなかった。
2日目の大問1は原発事故以来電気の使用を極力おさえて生活している筆者の書いた随筆文からの出題、大問2は最近の果物の甘みから現代日本が抱えている問題点を指摘している随筆文からの出題であった。設問自体はこれまでの灘の傾向と変わりはない。
大問3は例年通り詩が出題された。2日目の記述問題は、問題文中で傍線部の持つ意味を理解し、解答欄に合わせて字数を考え、必要十分な内容を盛り込まなければならない。
募集人数 | 180名 |
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志願者数 | 731名 |
受験者数 | 708名 |
合格者数 | 262名 |
実質倍率 | 2.70倍 |
算数1日目 | 算数2日目 | 国語1日目 | 国語2日目 | 理 科 | 計 | ||||||||||
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受験者平均点 | 38.5/100 | 44.5/100 | 60.0/80 | 69.1/120 | 64.5/100 | 276.6/500 | |||||||||
合格者平均点 | 49.8/100 | 56.8/100 | 63.6/80 | 75.1/120 | 73.2/100 | 318.6/500 | |||||||||
受験者最高点 | 87/100 | 98/100 | 79/80 | 98/120 | 90/100 | 414/500 | |||||||||
合格者最低点 | -/100 | -/100 | -/80 | -/120 | -/100 | 290/500 |
※スマートフォンは横スクロールでご覧ください。
募集人数 | 180名 | |||||||
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選抜方法 | 算・国・理 | |||||||
出願期間 | 12/25 ~ 1/7 | |||||||
試験日程 | 1/19・1/20 | |||||||
合格発表 | 1/21(掲示) |
1日目 | 2日目 | ||||||||
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算 数 | 100点(60分) | 100点(60分) | |||||||
国 語 | 80点(40分) | 120点(70分) | |||||||
理 科 | 100点(60分) | ― | |||||||
合 計 | 500点(290分) |
高校卒業生:219名
東京大(現役) | 92(70) | ||||||
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京都大(現役) | 42(25) | ||||||
大阪大(現役) | 17 (6) | ||||||
神戸大(現役) | 9 (5) | ||||||
大阪市立大(現役) | 7 (5) | ||||||
大阪府立大 | 2 |
早稲田大(現役) | 28 (4) | ||||||
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慶應義塾大(現役) | 32(14) | ||||||
関西学院大(現役) | 5 (2) | ||||||
関西大 | 5 | ||||||
同志社大(現役) | 16 (3) | ||||||
立命館大(現役) | 12 (3) |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 | ||||||||||||
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2015 | 594 | 228 | 2.61 | 312/500(62.4%) | ||||||||||||
2016 | 639 | 239 | 2.67 | 296/500(59.2%) | ||||||||||||
2017 | 667 | 242 | 2.76 | 321/500(64.2%) | ||||||||||||
2018 | 727 | 252 | 2.88 | 322/500(64.4%) | ||||||||||||
2019 | 708 | 262 | 2.70 | 290/500(58.0%) |
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