東大寺学園中学校の2019年度の入試は、5年ぶりに2.5倍を超える狭き門となり、その人気の高さが揺るぎないものであることを物語っている。
注目すべき点としては、まず、算数の難度が大きく上昇した点があげられる。例年難度の高い問題が出題されている算数ではあるが、全体の合格者平均点が60点を下回ったのは5年ぶりである。
また、理科と社会について、昨年度は合格者平均点が社会の方が10.1点高く、4科型受験者に有利な入試となっていたが、今年度は社会の方が0.1点高いだけというほぼ差がない結果となった。
3科型受験の不利を解消しようとした配慮がうかがえるが、理科の合格者平均点が社会を上回った入試は過去10年のうち1度しかないため、志望者は4科型受験での学習をすすめておきたい。
大問数は昨年度の4題のままであったが、問題用紙は1枚増えて全4枚と変化した。算数の合格者平均点も昨年度と比べると8点ほど低く、難化したといえる。
同校の算数の特徴として、単元を問わず問題文が非常にシンプルに表現されていること、解答用紙が表裏両面の1枚で広いスペースに考え方や式を残す必要があることの2点が挙げられる。
つまり、問題文にある条件を丁寧に整理するだけでなく、その整理した条件を表や図で相手に伝わるよう、日ごろのノート作りを意識しなければならない。
また、図形についても、問題の背景にある角度・長さ・面積・体積のそれぞれの関係性について深く理解しておきたい。
ここ最近出されていなかった短文作成問題が大問1で出題された。
漢字は例年と比べ取り組みやすいものが多かった。
論理的文章の長さは例年通りの1枚半ほど、文学的文章の長さも例年通りの2枚半ほどであり、どちらも2018年出版の新作の本から出題された。
記述問題は論理的文章で15字以内と100字以内、文学的文章で字数指定無しと60字以内の出題があった。
論理的文章の最後で本文の話の進め方についての記号問題が出題された。記号問題は要点や心情をじっくり読み込まないと解けない難問が出題される。
合格のためには、文章を深く理解する読解力と要点や心情をまとめる高い記述表現力が求められる。
問題用紙8枚、試験時間50分、問題数50問というスタイルは今年度も継承された。
このスタイルの中で最も注意すべき点は、全国でも屈指の長い試験時間だが、過去問を解くことで東大寺特有の出題スタイルに慣れると同時に、試験時間への対応も可能である。
出題傾向の最大の特徴は、単純な知識を問う一問一答形式の問題はほとんど出題されず、正誤判断やデータ・グラフの分析といった思考力を必要とする問題が非常に多いということである。
その傾向が顕著にみられるが、地理分野の学習では、歴史・公民分野以上に、背景や意味をしっかりと理解することが重要である。
3科型 | 4科型 | |
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募集人数 | 176名 | |
志願者数 | 320名 | 614名 |
受験者数 | 308名 | 576名 |
合格者数 | 153名 | 198名 |
実質倍率 | 2.01倍 | 2.91倍 |
算 数 | 国 語 | 理 科 | 社 会 | ※計 | ||
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受験者平均点 | 3科型 | 53.7/100 | 62.4/100 | 71.9/100 | - | 250.7/400 |
4科型 | 43.5/100 | 61.0/100 | 63.0/100 | 70.8/100 | 239.3/400 | |
全体 | 47.0/100 | 61.5/100 | 66.1/100 | 70.8/100 | 243.3/400 | |
合格者平均点 | 3科型 | 63.5/100 | 67.8/100 | 78.5/100 | - | 279.7/400 |
4科型 | 55.7/100 | 67.6/100 | 73.9/100 | 76.0/100 | 275.2/400 | |
全体 | 59.1/100 | 67.7/100 | 75.9/100 | 76.0/100 | 277.2/400 | |
合格者最高点 | 3科型 | 92/100 | 88/100 | 93/100 | - | 338.7/400 |
4科型 | 89/100 | 84/100 | 99/100 | 98/100 | 340/400 | |
合格者最低点 | 3科型 | 40/100 | 49/100 | 54/100 | - | 253.3/400 |
4科型 | 27/100 | 44/100 | 47/100 | 32/100 | 254/400 |
3科の得点を3分の4倍して判定
募集人数 | 176名 |
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選抜方法 | 算・国・理(・社) |
出願期間 | 12/6 ~ 12/17 |
試験日程 | 1/21 |
合格発表 | 1/23(掲示・web) |
算 数 | 100点(60分) |
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国 語 | 100点(50分) |
理 科 | 100点(50分) |
社 会 | 100点(50分) |
合 計 | 400点(210分) |
高校卒業生:210名
東京大(現役) | 18(11) |
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京都大(現役) | 57(33) |
大阪大(現役) | 20(11) |
神戸大(現役) | 19(7) |
大阪市立大(現役) | 8(3) |
大阪府立大(現役) | 10(3) |
早稲田大(現役) | 13(2) |
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慶應義塾大(現役) | 26(1) |
関西学院大(現役) | 11(1) |
関西大(現役) | 13(1) |
同志社大(現役) | 50(3) |
立命館大(現役) | 35(2) |
年 度 | 3科型 | 4科型 | ||||||
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受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 | |
2015 | 312 | 140 | 2.23 | 254.7/400(63.7%) | 479 | 185 | 2.59 | 254/400(63.5%) |
2016 | 293 | 149 | 1.97 | 281.3/400(70.3%) | 541 | 198 | 2.73 | 281/400(70.3%) |
2017 | 360 | 151 | 2.38 | 254.7/400(63.7%) | 534 | 213 | 2.51 | 254.7/400(63.7%) |
2018 | 335 | 154 | 2.18 | 240.0/400(60.0%) | 576 | 219 | 2.63 | 239.0/400(59.8%) |
2019 | 308 | 153 | 2.01 | 253.3/400(63.3%) | 576 | 198 | 2.91 | 254/400(63.5%) |
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