2019年度の大阪星光学院中学校の入試は、4科型受験が有利な年となった。全体の実質倍率は約2.5倍であったが、3科受験の実質倍率は2.9倍、4科受験の実質倍率は2.3倍であった。
この要因として挙げられるのは、理科と社会の平均点差の拡大である。社会の受験者平均点は60.5点で、ここ数年では最も高くなり、理科は昨年度よりも8点近く平均点を落とした。平均点は理科よりも社会が8点ほど高く、3科受験者には厳しいものとなった。
さらに4科有利に拍車をかけたのが算数の難化で、算数の受験者平均点はここ数年で最も低く、得点率が5割を切った。
ただし、合格者平均点は受験者平均点よりも19点ほど高い。算数の出来が合格を左右した入試であったと言えるだろう。
問題数は大問5題、1問のみ考え方を必要とする例年通りの出題形式であった。受験者平均点は昨年度68.3点から55.6点と得点率5割を切り難化した。今年度も図形問題が全体の約半数を占めている。
図形の出題内容については、2012年度以前は大問において平面図形のみが出題されることもあったが、2013年度以降は立体図形も大問で1題出題されてきた。今年度は、平面図形は小問2問での出題にとどまり、立体図形が大問2題で出題された。出題分野は、影と水量変化。
大阪星光志望者はそれに加え立体では立体の切断、平面図形では相似と点の移動、文章題では速さと場合の数の経験を特に積んでいくことが大切である。
文学的文章1題、論理的文章1題と知識問題1題という形式面での変更はない。
文学的文章は家に電話がないのが当たり前の時代の話だが、主人公が人の気持ちを気遣うことの大切さを知るという内容なので、受験生にとっては読み取りやすかったと思われる。
論理的文章は「才能」という言葉の意義についてで例年通りの難度であった。知識問題は慣用句の漢字と意味を選ぶ語句問題であった。
要点や心情をしっかり読み取る読解力、漢字や語句だけでなく様々な問題に対応できる豊富な知識力が必須である。
また、70字や100字などの長めの記述問題が出題されるので、読み取った内容をまとめる記述力も要求される。
例年通り、地理と歴史のそれぞれをテーマとした2つの大問を中心として構成されていた。公民分野の出題は少なく、くらしや災害に関する問題も出題される。地理と歴史については、知識を問う問題、データを分析する問題、正誤を判断する問題などがバランスよく出題され、総合力が問われる問題となっている。
大阪星光の特徴として、「学校教科書」を意識した出題が多いことが挙げられる。
今年度の出題された「エイサー」や「渋染一揆」などは学校教科書で触れられている知識なので、塾の勉強だけでなく、普段から何事も貪欲に知識を吸収しようとする態度が大切となってくる。
Ⅰ型(4科目型) | Ⅱ型(3科目型) | ||||
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募集人数 | 190名 | ||||
志願者数 | 581名 | 188名 | |||
受験者数 | 559名 | 174名 | |||
合格者数 | 238名 | 60名 | |||
実質倍率 | 2.46倍 |
算 数 | 国 語 | 理 科 | 社 会 | 計 | |||||||||||
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受験者平均点 | 55.6/120 | 75.9/120 | 52.4/80 | 60.5/80 | 242.4/400 | ||||||||||
合格者平均点 | 74.8/120 | 84.3/120 | 57.1/80 | 64.6/80 | 281.4/400 | ||||||||||
合格者最高点 | 118/120 | 109/120 | 72/80 | 78/80 | 365/400 | ||||||||||
合格者最低点 | 35/120 | 55/120 | 36/80 | 46/80 | 251.25/400 |
募集人数 | 190名 | |||||||||
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選抜方法 | 算・国・理(・社) | |||||||||
出願期間 | 12/17 ~ 12/25 | |||||||||
試験日程 | 1/19 | |||||||||
合格発表 | 1/20(掲示) |
算 数 | 120点(60分) | ||||||
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国 語 | 120点(60分) | ||||||
理 科 | 80点(40分) | ||||||
社 会 | 80点(40分) | ||||||
合 計 | 400点(200分) |
高校卒業生:197名
東京大(現役) | 16(12) | |||||||
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京都大(現役) | 41(25) | |||||||
大阪大(現役) | 19(11) | |||||||
神戸大(現役) | 9 (3) | |||||||
大阪市立大(現役) | 12 (6) | |||||||
大阪府立大(現役) | 8 (2) |
早稲田大(現役) | 16 (6) | |||||||
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慶應義塾大(現役) | 16 (5) | |||||||
関西学院大(現役) | 10 (8) | |||||||
関西大(現役) | 17 (9) | |||||||
同志社大(現役) | 70(24) | |||||||
立命館大(現役) | 42 (5) |
年 度 | Ⅰ型 | Ⅱ型 | 実質倍率 | 合格者最低点 | |||||||||||||
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受験者 | 合格者 | 受験者 | 合格者 | ||||||||||||||
2015 | 489 | 207 | 276 | 106 | 2.44 | 287/400(71.8%) | |||||||||||
2016 | 532 | 237 | 181 | 61 | 2.39 | 276.25/400(69.1%) | |||||||||||
2017 | 479 | 226 | 174 | 85 | 2.10 | 262/400(65.5%) | |||||||||||
2018 | 552 | 217 | 178 | 67 | 2.57 | 262/400(65.5%) | |||||||||||
2019 | 559 | 238 | 174 | 60 | 2.46 | 251.25/400(62.8%) |
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