コロナの影響から、昨年同様、遠方からの受験者が少なかった。今年度も、東京・神奈川からの受験者は2年前から比べて80名ほど少なく、また当日の欠席も昨年並みとなり、受験者は623名となった。しかし、合格者数は例年並みとなったため、実質倍率は、近年で最も低い2.44倍となった。
どの教科も合格者平均点が7割付近となり、難しいものの、落ち着いた試験内容となった。合格者平均点と受験者平均点の差がつきやすい算数では、例年は2日間合わせて30点以上の差があるが、今年度は23.2点差にとどまった。国語は2日目の平均点が少し下がり、理科も地学分野の増加などもあって平均点は少し低くなった結果、合格最低点は300点を切ることとなった。
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大問数は1日目が12題、2日目が5題と例年通りの形式となった。
1日目については、大変易しくなった昨年と比べて、合格者平均点が20点ほど下がり、例年と比べても、少し難しいレベルとなった。文章題は数に関する問題が半分を占め、図形は立体が2題とも四角すいの問題であるなど、分野が偏っていた。平面図形においては、ひらめきが必要とされる問題が2題も出題された一方で、近年の「影」や「移動」に代表されるような、丁寧に作図をして正確な処理を求めるタイプの問題は見られなかった。
2日目については、数論、場合の数、速さ(時計)、平面図形(反射)、立体(切断)の5題で、いずれも正確な処理を要求するオーソドックスな難問となった。近年と比較すると小問数が減少したため、1問の配点が高くなり、思わぬ失敗で大きく失点するケースが多かったと思われる。両日とも、膨大な作業はなく、高度な知識・テクニックを習得したうえで、正確な読み取りと緻密な処理が要求された。
1日目…文章題1題・語句などに関する問題6題。
2日目…文章題2題・詩1題。
今年度の1日目では動物に関した語句、コンセプト・コンセンサスなどの「コン」から始まる外来語、句から季節を読み取る俳句の問題、敬語、漢字パズルなどが出題された。1日目では覚えた漢字語句をしっかりと使いこなす運用力が求められる。2日目の大問1は生物に関した文章が出題された。過去にも動植物の文章が出題されたことがあるので注意しておきたい。大問2は灘中頻出の随筆文からの出題となった。大問3は例年通り詩が出題された。
灘中では文章読解、記述問題ともに対比の構造を意識する必要がある。また比喩の問題がよく出題されるので、何を何にたとえているかを考えて読解することも大切である。記述問題を答える際には、問題文中で傍線が引かれている箇所の持つ意味と設問内容をしっかりと理解することが大切である。その上で、解答欄の行数に合った答えにするために記述内容をしっかりと練る必要がある。
①出題内容
大問6題のうち、物理は力学と電気の2題、化学は燃焼と中和反応の2題であった。また、生物の1題は人体から、地学の1題は天気からの出題であった。化学の2題は受験生にとって見慣れた題材であったが、その他の4題はその場で読み込んで考えるタイプの内容であった。
②昨年までとの比較
小問数は変わらないが、文章量が多く、計算問題も増えた。瞬発力を兼ね備えた論理力、計算力が必要となった。この変化が平均点の下降を招いた要因と考えられる。時間配分に辛酸を嘗めた者もいたのではないかと想像される。
③対策
地学で十種雲形の名前が問われたように、求められる知識はマニアックなものではなく学校教科書レベルである。化学計算は日頃より、計算式やデータの整理を書き残す練習が必須である。知識力、計算力を拠り所とし、論理力の向上を追求し続けてほしい。解答につながる根拠が説明できるぐらいの学習が大事である。
募集人数 | 180名 |
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志願者数 | 652名 |
受験者数 | 623名 |
合格者数 | 255名 |
実質倍率 | 2.44倍 |
算数1日目 | 算数2日目 | 国語1日目 | 国語2日目 | 理 科 | 計 | |
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受験者平均点 | 52.7/100 | 53.8/100 | 53.4/80 | 64.2/120 | 60.4/100 | 284.5/500 |
合格者平均点 | 64.5/100 | 65.3/100 | 57.5/80 | 70.9/120 | 69.9/100 | 328.1/500 |
受験者最高点 | 100/100 | 96/100 | 76/80 | 97/120 | 95/100 | 409/500 |
合格者最低点 | -/100 | -/100 | -/80 | -/120 | -/100 | 297/500 |
募集人数 | 180名 | |||||||
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選抜方法 | 算・国・理 | |||||||
出願期間 | 12/20 ~ 1/5 | |||||||
試験日程 | 1/15・1/16 | |||||||
合格発表 | 1/18(掲示・web) |
1日目 | 2日目 | |
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算 数 | 100点(60分) | 100点(60分) |
国 語 | 80点(40分) | 120点(70分) |
理 科 | 100点(60分) | ― |
合 計 | 500点(290分) |
高校卒業生:216名
東京大(現役) | 97(75) |
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京都大(現役) | 34(21) |
大阪大(現役) | 9 (2) |
神戸大(現役) | 11 (5) |
大阪市立大(現役) | 6 (1) |
大阪府立大(現役) | 7 (1) |
早稲田大(現役) | 22 (3) |
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慶應義塾大(現役) | 42 (4) |
関西学院大 | 5 |
関西大 | 3 |
同志社大(現役) | 16 (2) |
立命館大(現役) | 25 (3) |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 |
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2018 | 727 | 252 | 2.88 | 322/500(64.4%) |
2019 | 708 | 262 | 2.70 | 290/500(58.0%) |
2020 | 762 | 256 | 2.98 | 320/500(64.0%) |
2021 | 650 | 227 | 2.86 | 341/500(68.2%) |
2022 | 623 | 255 | 2.44 | 297/500(59.4%) |
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