灘中学校の2021年度はコロナ禍の影響により、受験者数は、過去最高となった昨年と比べて112名減少した。東京・神奈川・埼玉・福岡といった遠方からの受験者が100名以上減少したことが原因である。それに伴い合格者も227名と昨年から29名減少したため、実質倍率は2.86倍と例年通りになった。
内容については、算数の1日目と理科がいずれも昨年より10点ほど平均点が上がったため、合格最低点も昨年から21点上がり、341点となった。340点以上になったのは、2012年の入試以来、9年ぶりである。
国語では2日目の記述量が増加、算数では1日目の難度が下がった分、正確な処理を求められる傾向がさらに強まった。理科では、生物・地学の難度が下がった分、平均点が上がったと思われる。
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大問数は1日目が12題、2日目が5題と例年通りの形式となった。難易度が落ち着いた2020年度と比べて、さらに易しくなった。特に1日目については、素直なタイプの問題が多く、丁寧に書いて調べれば対応できる問題が並んだため、2008年以来、合格者の平均点は80点を超えた。
受験者の平均点も65点となり、2012年以来の取り組みやすい内容であった。このような場合、問題の設定の読み間違いや計算ミスなどの失点に気づかず、手ごたえよりも得点が低いパターンが存在する。この「確実さ」の違いにより、合格者の平均点と受験者の平均点の差が18点と大きく開いた。
2日目は試行錯誤を要するタイプ、典型的な問題、作図問題とバランスよく出題されていたため、平均点は例年通りとなった。2日間を通して本格的な速さの問題は出題されず、平面図形も基本テクニックを確認する問題に終始した。
全体的に難問を繰り出す流れではなく、いかに問題文を正確に読み取り、処理を実行するかが問われる入試となった。
1日目…文章題1題・語句などに関する問題7題。
2日目…文章題2題・詩1題。
例年通りの出題傾向だった。1日目は外来語・動詞・仮名遣い・誤字訂正・比喩表現・漢字しりとりなど、幅広い分野から出題された。
特に仮名遣いの問題などにおいて、基礎的な学習をおろそかにしないでほしいという学校側からのメッセージが読み取れた。また、今年の漢字しりとりの問題は、条件から比較的容易に答えの漢字を絞りこむことができ、取り組みやすかった分、確実に正解させる必要があったと考えられる。
2日目の大問1は調理に関する論説文、大問2は目の見えない筆者の経験に関する随筆文が出題された。大問2は、筆者の動きをきわめて具体的にイメージする必要のある問題が出題された。状況をイメージしながら読む力は日頃から身に付けておきたい。
大問3では例年通り詩が出題された。息子の成長を、自らの自立の過程と照らし合わせながら見つめる父親の心理を読み取る問題が出題され、やや難問だったといえる。
①出題内容
物理は電圧と電流および球殻の重心に関する出題、化学は中和反応および水溶液の性質・重曹の熱分解に関する出題であった。生物はヒトの誕生、地学は惑星についての出題で総計6題、試験時間60分でじっくり考えられる分量であった。
②昨年までとの比較
昨年と比べて平均点が上昇しているが、理由としては地学が分かりやすい内容であったことと生物の小問の多くが基礎的な知識を問うものであったことが挙げられる。
出題分野は昨年に続いて物理・化学が各2題、生物・地学が各1題となり、この傾向は今後も続くと考えられる。物理・化学の対策が灘中理科、攻略のカギとなってくる。
③対策
灘中と言えども須く基礎的な知識を身につけておくべきである。また、計算を筋道立てて考えられる力が合格の衝に当たる。日頃から必要な計算式を書く練習が求められる。また、今年の6番のように、先入観を捨て問題文に書かれていることを読み取り、考えるという練習を過去問で追究したい。
募集人数 | 180名 |
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志願者数 | 687名 |
受験者数 | 650名 |
合格者数 | 227名 |
実質倍率 | 2.86倍 |
算数1日目 | 算数2日目 | 国語1日目 | 国語2日目 | 理 科 | 計 | |
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受験者平均点 | 65.1/100 | 54.3/100 | 57.7/80 | 71.0/120 | 68.5/100 | 316.7/500 |
合格者平均点 | 83.0/100 | 67.8/100 | 63.2/80 | 78.0/120 | 76.5/100 | 368.5/500 |
受験者最高点 | 100/100 | 100/100 | 77/80 | 114/120 | 94/100 | 447/500 |
合格者最低点 | -/100 | -/100 | -/80 | -/120 | -/100 | 341/500 |
募集人数 | 180名 | |||||||
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選抜方法 | 算・国・理 | |||||||
出願期間 | 12/24 ~ 1/5 | |||||||
試験日程 | 1/16・1/17 | |||||||
合格発表 | 1/19(掲示) |
1日目 | 2日目 | |
---|---|---|
算 数 | 100点(60分) | 100点(60分) |
国 語 | 80点(40分) | 120点(70分) |
理 科 | 100点(60分) | ― |
合 計 | 500点(290分) |
高校卒業生:220名
東京大(現役) | 79(57) |
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京都大(現役) | 49(31) |
大阪大(現役) | 14 (5) |
神戸大(現役) | 11 (5) |
大阪市立大 | 2 (1) |
大阪府立大(現役) | 2 (1) |
早稲田大(現役) | 23 (6) |
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慶應義塾大(現役) | 24(10) |
関西学院大 | 2 |
関西大 | 4 |
同志社大(現役) | 18 (1) |
立命館大 | 9 (2) |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 |
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2017 | 667 | 242 | 2.76 | 321/500(64.2%) |
2018 | 727 | 252 | 2.88 | 322/500(64.4%) |
2019 | 708 | 262 | 2.70 | 290/500(58.0%) |
2020 | 762 | 256 | 2.98 | 320/500(64.0%) |
2021 | 650 | 227 | 2.86 | 341/500(68.2%) |
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