今年の受験者数は、昨年と比較し100名以上増えた730名となり、コロナ前の水準に戻った。中でも大阪・兵庫がそれぞれ約30名ずつ、埼玉・愛知がそれぞれ20名弱ずつ増加した。各教科の合格者平均点は、算数1日目のみ昨年より約15点高くなったが、その他の科目については、大きな変化はなく例年通りであった。取り組みやすい問題が並んだ算数1日目と深い思考力を問う算数2日目。高い語彙力が必要な国語1 日目と読解と記述にじっくり取り組ませる国語2日目。小学校の教科書内容を問う問題や本質を理解し計算処理をするハイレベルな問題まで幅広く出題される理科。合格するためには、各教科抑揚のきいた問題が出題される中で7割以上の得点を目指していきたい。
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大問数は昨年と同じ1日目が12題、2日目が5題であり、出題形式に大きな変化はなかった。しかし、フォントが変わったため、見た目で違和感を覚えた受験生もいたかもしれない。
1日目は、合格者平均点79.4点が示す通り、易しめの問題ばかりであった。出題単元も例年通り、数論・平面図形・立体図形などが多くを占めた。一方、計算問題に西暦の数だけでなく試験日と合格発表の日にちが入ったり、円安の世相を反映した為替相場の問題に「ナダ」という独自の通貨単位を出したりと遊び心あふれる内容であった。
2日目については、例年通りの難易度で合格者平均点も65.8点と整った試験であった。試行と思考の両方を問う問題が2題、条件整理から複数の答えを求める文章題が1題、イメージを作図させる図形の移動問題が1題、複数回切断も登場する求積問題が1 題と灘中らしい問題が並んだ。両日とも、正確な読解と処理からわかったことをまとめる力とイメージしたことを作図や式に落とし込む力が求められた。
1日目…語句問題中心の文章題1題・語句などに関する大問5題。
2日目…文章題2題・詩1題。
今年度の1日目では買い物について詠んだ俳句、数字を含む慣用句、外来語、漢字パズルなどが出題された。1日目では文意や言葉の意味から語句を答える発想力が求められた。2日目は随筆文が2題出題された。どちらも比較的読みやすいものではあったが、記述問題は難解なものが多かった。大問3は例年通り詩が出題されたが、作者の内面的な変化が中心のもので、解きにくく感じた受験生も多かったかもしれない。
灘中では対比の構造を意識した文章題・記述問題が出題されることが多いので、問題を解く時には常に意識しておかなければならない。記述問題を解く際には、文章中で傍線が引かれている箇所の持つ意味と、設問文から何を問われているのかを正確に把握した上で答える必要がある。近年は記述問題の量も増えてきているため、これらの作業を短時間で行わなければならず、非常に難解な入試問題となっている。
①出題内容
例年通り物理・化学が2題、生物・地学が1題の計6題であった。問題用紙の枚数が昨年の4枚から3枚に戻った。
②昨年までとの比較
昨年下降した平均点が例年並みに戻った。理由としては文章量が減ったことで時間的余裕ができた点が挙げられる。読み込みが必要な問題に十分時間を使えたのではないだろうか。物理では灘らしい出題が見られた。太陽光の問題では連続的な変化について考えさせ、力学の問題では初見のテーマについて作図をして考える対応力が求められた。反面、化学の2題は受験生にとって見慣れた題材であり、確実に解き切る計
算力が求められた。
③対策
生物で5 大栄養素、化学で硬貨の材質について問われたように、学校教科書で扱われるような身近な現象についての深い理解が求められる。難関校に必要な知識力、計算力を身につけておくことは当然だが、科学現象に常に疑問を持ち、論理的に追及する習慣をつけていって欲しい。
募集人数 | 180名 |
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志願者数 | 745名 |
受験者数 | 730名 |
合格者数 | 281名 |
実質倍率 | 2.60倍 |
算数1日目 | 算数2日目 | 国語1日目 | 国語2日目 | 理 科 | 計 | |
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受験者平均点 | 63.5/100 | 53.4/100 | 51.1/80 | 65.4/120 | 64.0/100 | 297.4/500 |
合格者平均点 | 79.4/100 | 65.8/100 | 55.5/80 | 70.6/120 | 72.6/100 | 343.8/500 |
受験者最高点 | 100/100 | 100/100 | 72/80 | 95/120 | 93/100 | 417/500 |
合格者最低点 | -/100 | -/100 | -/80 | -/120 | -/100 | 316/500 |
募集人数 | 180名 | |||||||
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選抜方法 | 算・国・理 | |||||||
出願期間 | 12/19 ~ 1/5 | |||||||
試験日程 | 1/14・1/15 | |||||||
合格発表 | 1/17(Web) |
1日目 | 2日目 | |
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算 数 | 100点(60分) | 100点(60分) |
国 語 | 80点(40分) | 120点(70分) |
理 科 | 100点(60分) | ― |
合 計 | 500点(290分) |
高校卒業生:221名
東京大(現役) | 92(62) |
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京都大(現役) | 48(36) |
大阪大(現役) | 11 (6) |
神戸大(現役) | 5 (1) |
大阪市立大(現役) | 12 (6) |
早稲田大(現役) | 64(23) |
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慶應義塾大(現役) | 36 (8) |
関西学院大(現役) | 8 (4) |
関西大(現役) | 3 (2) |
同志社大(現役) | 26(13) |
立命館大(現役) | 20 (5) |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 |
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2019 | 708 | 262 | 2.70 | 290/500(58.0%) |
2020 | 762 | 256 | 2.98 | 320/500(64.0%) |
2021 | 650 | 227 | 2.86 | 341/500(68.2%) |
2022 | 623 | 255 | 2.44 | 297/500(59.4%) |
2023 | 730 | 281 | 2.60 | 316/500(63.2%) |
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