合格者最低点は263点と例年よりやや低かったが、受験者平均点は国語と理科はほぼ横ばいであった。
特筆すべきは算数の受験者平均点が大きく下がったことである。特に1日目は53.2点から41.8点となった。昨年の難化から今年は揺り戻しが予想されただけに、受験生の1日目の動揺が少なからず合否に影響したであろう。ただ、この難化は良問ぞろいによるものである。受験者と合格者の平均点の差が大きいことがそれを示し、入学試験という実力をはかるのに適切な問題であったといえる。
学校側が受験生に合わせることを期待するのではなく、この難度の傾向が続くと予想し受験生側が学校の求めるところに到達することを目指したい。なお、実質倍率は微増であった。
両日とも大問6題が出題され、55分という試験時間や形式も例年通りであった。
難易度については、第1日が易しく、第2日で差がつく難問が出題されることが近年多かったが、今年は両日とも難易度が高い入試であった。
数字で見ても、第1日と第2日の受験者平均点が41.8点と47.1点と共に40点台を記録し、両日分の合格者平均点も101.6点と過去10年の中で最も低かった。
要因は、甲陽の過去問の焼き直しやテキストの類題が出題される傾向が年々薄まり、作業量が多い問題や数学的知識が背景にある思考力問題が出題される傾向が増えてきたことにある。その中にも、今年の新入生が111回生であることからレピュニット数が登場したり、同校に縁のある小説家の村上春樹氏の誕生日や作品名が数値設定で登場したりと、甲陽らしさも全開であった。
問題の取捨選択能力、正確無比な処理力、高度な図形や数の問題を解ききる思考力などの様々な力を普段から意識して鍛えておきたい。
両日ともに1題目に論説文、2題目に物語文が出題された。
出題された文章については例年と同様に最新の著作から選ばれており、問題についても難解な記述問題が多く出題されるという例年の傾向と変わりはなかった。
記述の字数の多さ、答え方の難易度についても例年と同じような試験だったので、甲陽に向けた学習を積んできた受験生には力を発揮しやすい問題だったと言える。
甲陽合格のためには、漢字語句問題で点を取りきる語彙力と、難解な文章を整理して理解し、さらに設問の意図を正確に読み取る読解思考力、設問内容に応じた解答を書ききる記述力が求められる。これらの向上は受験直前期だけでは厳しいので、6年の最初のうちから少しずつ平常の学習を通して、土台作りを進めておきたい。
出題される文章のテーマや記述問題の傾向が大きく変化する学校ではないので、過去問の文章内容・設問内容・解答と根拠の導き出し方について、暗記するレベルまでやりこんでおくのが合格への近道とも言える。
募集人数 | 200名 |
---|---|
志願者数 | 394名 |
受験者数 | 373名 |
合格者数 | 220名 |
実質倍率 | 1.70倍 |
算 数 | 国 語 | 理 科 | 計 | ||
---|---|---|---|---|---|
受験者平均点 | 1日目 | 41.8/100 | 62.9/100 | 62.5/100 | -/500 |
2日目 | 47.1/100 | 55.0/100 | ― | ||
計 | 88.9/200 | 117.9/200 | 62.5/100 | ||
合格者平均点 | 101.6/200 | 124.8/200 | 67.6/100 | 294.0/500 | |
合格者最高点 | 163/200 | 160/200 | 93/100 | 398/500 | |
合格者最低点 | -/200 | -/200 | -/100 | 263/500 |
募集人数 | 200名 |
---|---|
選抜方法 | 算・国・理 |
出願期間 | 12/19~1/5 |
試験日程 | 1/13・1/14 |
合格発表 | 1/15(掲示) |
1日目 | 2日目 | |
---|---|---|
算 数 | 100点(55分) | 100点(55分) |
国 語 | 100点(55分) | 100点(55分) |
理 科 | 100点(55分) | ― |
合 計 | 500点(275分) |
東京大(現役) | 36(29) |
---|---|
京都大(現役) | 47(33) |
大阪大(現役) | 14 (8) |
神戸大(現役) | 18(12) |
大阪公立大(現役) | 23(10) |
早稲田大(現役)ss | 16(7) |
---|---|
慶應義塾大(現役) | 19(8) |
同志社大(現役) | 39(2) |
年 度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格者最低点 |
---|---|---|---|---|
2020 | 383 | 217 | 1.76 | 288/500(57.6%) |
2021 | 380 | 215 | 1.77 | 285/500(57.0%) |
2022 | 327 | 211 | 1.55 | 301/500(60.2%) |
2023 | 366 | 221 | 1.66 | 274/500(54.8%) |
2024 | 373 | 220 | 1.70 | 263/500(52.6%) |
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